宇多丸vsヤマカン


先日、RHYMESTER宇多丸氏が、自身のラジオ番組内映画評論コーナーにて、
山本寛監督、初実写作品「私の優しくない先輩」を評論した。


この映画評論コーナーは、毎回かなりの長い時間を割いて(平均30分位)
作品の細かな部分にまで着目し、宇多丸氏独自の”いい意味でねちっこい”
評論が人気のコーナーだ。



両者の事を知らない人にざっくり説明すると、宇多丸氏は日本語ラッパーの
先駆け的な存在で、自身のラップグループRHYMESTERをベースに活動し、
現在はラジオDJやTV番組のレギュラーを持つ、マルチな才能の持ち主。


山本寛監督は大ヒットアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の演出を手掛け、
その革新的な演出法により、現在注目を集める人気アニメクリエイター。
今回、初実写作品の監督をするに至った。


早速そのコーナーのポッドキャストがあるので、まずは聴いて頂きたい。
(といっても約40分ありますが…)


宇多丸、「私の優しくない先輩」評 ポッドキャスト
http://podcast.tbsradio.jp/utamaru/files/20100724_hustler.mp3



で、普段はこのコーナーの評論に対して、そこでとりあげた映画の監督自らが、
何かコメントをするという事は稀で、過去にもほとんど無かったように思う。
(監督自ら『自身の映画を取り上げて下さい』っていうプロモーションはあった)


前述の通り、作品の細部にまでねちっこく独自解説を行うので、
反応、反論するにもそれなりの物量が必要になるから、
普段は当事者である監督が、直接コメントしたり反応したりはしないんだけど、


今回は珍しくこのコーナーに直接名指しで、即反応してくれた監督が現れました。
前述の山本寛監督、通称ヤマカンです。



【ヤマカンの反応】
http://wind.ap.teacup.com/kanku1974/154.html
http://wind.ap.teacup.com/kanku1974/155.html
http://wind.ap.teacup.com/kanku1974/156.html



明らかにメンドくさそーに、でもしっかりと反応しちゃてる。
まるで、カツアゲされてる中学生が『はいはい、、お金出せばいいんでしょ。』
っていう、ある種の諦めと現実逃避、自分にはこの現実は関係ないんだという
処世術の典型的なパターン。



そしてこの処世術こそ、今回のポッドキャストの最後で触れた、
『なぜアニメ作家は執拗に”何がリアルか問題”をテーマに掲げ続けるのか』
っていう答えに繋がるんじゃないだろうか。


現実と虚構をいつまでもテーマに掲げ続けるアニメ作家。
目の前にあるディテールを常にテーマに掲げ続けるラッパー。


外野で見てて久しぶりに面白い展開でした。
これが、テレビvsネットじゃなくて、ラジオvsネットっていうのも含めて。