『つづきはCMの後で!』演出が生んだTV離れについて。


最近のTV離れや視聴率低下については、方々で語られているけど、
大抵はネットや携帯電話の躍進云々、くだらないバラエティー番組云々、
ニュースの模造云々の話ばかりで、どうも自分にはピンとこなかった。
そのどれもが直接の原因になるほど、そもそも大衆はTVに対して期待していただろうか。


私が思う直接の原因は、『つづきはCMの後で!』という演出方法と、
それに伴って増え続けた”画面内テロップ、及びワイプ演出”の2点にある。


この件に関しては数年前、この手法が出始めて流行りだした頃、
散々、私の周りでも”あれは酷い”とか”あざとい”という意見があった。
しかしそれも時間が経つにつれ、次第に声高に語られる事も無く、
今では当たり前のように、どんな番組を見ても使われるようになった。


視聴者側が”あきらめた”といえばそれまでだが、
その実、あれを不快ではなく、演出方法の一部であると納得している
視聴者はどれほどいるだろう。


酷い番組の例を出せばキリが無いが、今では『つづきはCMの後で!』
という告知すらなく、ほんとうにブッツリCMに入る事も多い。


しかし、これらの演出が視聴者にもたらすのは不快感のみである。
その不快感がどこに繋がるのかというと、
イコール『TVはくだらない。』になると私は思う。


当たり前の事だが、人は人に馬鹿にされるのを嫌う。
特に真剣な人、時ほど、馬鹿にされるのを嫌う。
馬鹿にした人間に不快感を覚えたり、見限られるのは当然の事だ。


視聴者は常にこの『つづきはCMの後で!』という演出において
”馬鹿にするな!”と思い、さらには幼稚なテロップやワイプでも
”馬鹿にするな!”と感じている。
そこまで強く思わなくても、心の中で”チッ!”と舌打ちをしているはずだ。


しかし作り手は作り手で、上記の演出により、視聴率も稼げて、
チャンネル占有率も稼げると思い込んでいる。
それはいかにも視聴者を下に見た、馬鹿にした考えではないだろうか。


『はい、あ〜〜ん』と、おいしそうな物を口の前までもってきて、
『はい、残念〜〜んww』と、おあずけをくらうあれを何度もやられたら、
さすがに大人も子供も「下らないな、こいつ」と思う事だろう。


作り手は視聴者を馬鹿にし、視聴者は作り手を馬鹿にしている。
双方が双方の憶測で信用を無くし、迷路に迷い込んだ状態が今の視聴率低下ではないだろうか。あの演出が登場して数年、その結果が今になり数字として現れたと感じている。


今一度あの『つづきはCMの後で!』演出の是非を、TV局や作り手は見直して欲しい。一つの映像作品として見た時、あんな物を出す事の恥ずかしさを。



補足
最近流行のブッツリCMに入る演出は、HDDレコーダーなんかの
スキップ機能をより意識して、リモコンを手にする隙すら与えない!
という事なんでしょうね、。
さらには、いかにも今からCM入りますよ〜と見せかけて、入らない、
なんていうのも最近はあったりします、。